【大峰】上多古川・上谷
HOME 戻る
記  めぐわんこ
2005年8月21日

【プロローグ】
前夜は、きたろう恒例の夏の河原宴会が催された。
仕事の為、私は夜遅くからの参加となったが、焚き火のもとおいしい焼肉をたらふく頂いて楽しく過ごす。

さて、今回だが、@宴会がメインである事。A明日は雨らしい等の理由で次の日の沢行きがはっきりと決まらないまま眠りに着くのであった。


【タイトル】最後が核心・潜って登ってトラバース
【日程】平成17年8月21日(前夜泊)
【場所】大峰・上多古川・上谷
【メンバー】KUROさん、キンゴさん、BAKUさん、りんご畑さん、中野さん、PIKKUさん、めぐわんこ
【お天気】雨
【地図】洞川・弥山(1/25000)

朝方5時前位に雨の音で目を覚ます。結構降っている。この分だと今日は無理かなと思い、もう一度寝なおす。6時過ぎ頃再び目覚める。何と雨が上っている。行けるかも知れないと思い慌てて起床する。河原を散策したりした後、ゆっくりと朝食等を取りながら、今日の予定を相談する。

最初は、参加予定でなかったりんご畑さんが初心者の私とキンゴさんの二人だけの入渓は、ちょっと心配と言う事で参加。別の沢行きの予定が中止になったBAKUさんも参加。馬の鞍谷へ行く予定だった中野さんも急遽参加。キンゴさんに3時間で終われるでと唆されたKUROさんも参加。沢大好きのPIKKUさんも参加。

と、言う事で7人のパーティーで三ノ公川の河原を出発する。出発時は雨は止んでいたのだが、どんどん雨が降ってくる。大丈夫かなと思いながら車は上谷に向かって雨の中を走る。


★ ゲート止め(9:20)⇒入渓 (9:25)
林道ゲート前に到着。暫く車の中で雨の為待ち状態。10分位たった頃だろうかBAKUさんが車の窓をコンコンとたたき「入ったら一緒やから行ってしまおう。」と声をかけに来てくれる。それでやっと重い腰を上げて入渓準備に取り掛かる。そうこうする内に雨も少しマシになってきた様である。では、しゅっぱ〜つ。

ゲートから林道を歩いて行く。ガイドブックなんかでは林道終点までとなっているのだが、5分も歩かない内に適当な所から谷に降りて入渓する。


★ 入渓 (9:25)⇒岩小屋(11:00)
何だか少し暗い感じ。入渓して暫くは特に変化もなくゴロゴロした少し大き目の石の間を縫っていくような感じで進む。前回は、とにかくキンゴさんの後を付いて行ったが、今日は恐くてどっちにも行けないなと感じた所意外は自分の考えたルートで進んで行く事を目標にする。
しかし、雨の中の遡行で皆、中々モチが上らないのか入渓してまだ10分も経っていないのにもう休憩している。5分ほど休憩して再び遡行開始。今日は、PIKKUさんがリードを取って後は適当な順番で進んで行く。
そうこうしている内に石が段々大きくなってきてゴーロ帯の様になってくる。
体が小さい私は、やはりこの岩越えが1番しんどい。その間に岩間にかかった小滝もどんどん出て来て段々面白くなってくる。さっきまでの皆のモチの低さも段々消えてきて雨の事もほとんど気にならなくなる。岩間にかかる小滝をいくつか過ぎると本格的なゴーロ帯に入る。

自力で乗越えられない時はキンゴさん・BAKUさんのシュリンゲ等のお世話になりながら大岩を乗り越えて行く。
確かこの時に1度岩の下をくぐって抜けて行ったような記憶がある。BAKUさんが最後の方で又くぐる場所があるからねと教えてくれる。

やがて左岸に高いーが峭立した岩小屋状になったところに到着する。雨よけにもなるのでここでランチタイムとなる。
本来ならここから少し手前がガイドブックなんかに乗っている入渓地点だったようである。

★ 岩小屋(11:25)⇒牛呼滝(13:00)
岩小屋を過ぎたあたりから谷も傾斜がきつくなり段々いい雰囲気になってくる。小滝をいくつか超えて3m前後の滝を二つ程越えた後雰囲気の良い5m前後の斜瀑がかかっている。ここは傾斜が緩いので何なくクリア。
その後又いくつかの5m位迄の滝をこなして行くと深い釜を持った馬ノ背滝に着く。

私とPIKKUさんはりんご畑さんに連れられて左岸を巻いたが、皆は先を争って登りにかかったようだ。私は、見ていなかったのだが、キンゴさんがBAKUさんと中野さんに先を越されて右岸側を登られてしまったらしい。それで仕方なく巻き道を行ってBAKUさん達にザイルを投げてあげたらしい。

その時のキンゴさんの心中:《役割が逆になっとるやんか (^_^;)やっぱり、行ったもん勝ちやなと、つくづく思った・・・》らしいです。

馬ノ背滝を通り過ぎると斜瀑やナメが連続する奇麗な渓谷である。このあたりは本当にいい雰囲気だ。雨が降ろうが雷が鳴ろうが来て良かったとつくづく思う。

気分良く進んでいる内に左岸に霧の様な30m位の滝がかかっている。遡行図を出して確認。これがおそらくしずくの滝であろう。続いて谷は左に折れて美しい多段20M程の滝が待っていてくれる。皆、次々登っていく。りんご畑さんが再び「捲くのなら付き合いますよ。」とやさしい言葉をかけてくれるので、PIKKUさんと三人で右岸を捲く。上で皆が上って来るのを待つ。

皆が上って来た所で小休止。遡行図をもう一度確認して後は、三段20mナメ10mと最後の核心である牛呼滝だけだとわかる。

その後の三段20mは本来なら直登可能なのだが、後続にザイルが必要になる為、河原宴会参加で今回沢に参加していないグループとの待ち合わせがあるので時間の関係上ここは、登りたい人にも諦めてもらって捲く事にする。

続くナメ滝は、大岩の下をくぐって通過。これが最初の方でBAKUさんが言っていた岩の間をくぐると言う場所であろう。くぐってから小滝を乗り越えて行くとアッと驚く風景である。両岸から岩壁も迫ってその奥に今まで見た事もない滝がある。これが噂の牛呼滝・・・しみじみと見つめてしまう。

★ 牛呼滝(13:00)⇒杣道(14:20)
この滝は、ガイドブック等を見ると右岸の草つきを登るらしい。

《ここに来たかった理由は、この滝を直登したという話はあまり聞かないのだが、沢やだった私の父が70才の時に左岸の方を直登したらしいのでどんな滝か一度は見てみたかった。父のお気に入りの谷だった。初心者も入渓可能Etc・・・》

色々な思いを馳せている間に皆は、突破のルートを考えている。中野さんは登りたかったのか中々滝の下から離れようとしなかったが、りんご畑さんはさっさと右岸の垂直に切り立ったルンゼの様なところを登り始めている。今日は、結構巻き道に付き合って下さったのでうずうずしてきたのかな?やっぱりお猿さんの様にすばやく行ってしまったのである。

登り始めたのはいいけど、ザイルを持たずに行ったのでその後をキンゴさんがザイルを持って垂直の壁を登っていく。今日は雨が降っているのでズルズルだ。おまけに草の根も弱くなって中々困難な感じである。慣れている二人でも途中で時々固まるのだから私なんか無事に登れるのかな?と少し不安。途中で二人が立ち木のところにビレー地点を確保する。垂直方向だけではここは、突破出来ないのでキンゴさんがBAKUさんにザイルを持って来るように促す。「ほいな」とBAKUさんがザイルを持って登って行く。その間に雨も激しくなって来て下で待っていると段々寒くなってくる。そうこうしている内にBAKUさんもビレー地点に辿り着く。
そして今度はりんご畑さんが再びザイルを持って下から見て右方向にビレー地点からトラバースして行く。その時のキンゴさんとBAKUさんの会話。

「りんご畑さんどこ行くんやろ?」
「見えへんけど、最後がいやらしそうやな」(~_~;)

この時はビレー地点の右下位で待っていたのですが、大きくはないのですがトラバースしている時の落石があったりして危険なのでもう一度牛呼滝よりに中野さんと避難する。でも、雨が冷たい。体も寒くて硬くなってくる。

その間にPIKKUさん、中野さん、KUROさんの順番にまずは、ビレー地点まで登って行く。私は、トップロープで引き上げてもらう予定なのでこの時はラスト。KUROさんが登っている間ザイルのたるみを直す役目を仰せつかるが、初めての事なのでちょっとドキドキ。そしていよいよ私の番。両手両足を使って一生懸命登るが、ズルズルな上まともなホールドがあまり見つからない。でも、登らないと帰れないのよね〜なんて思いながら必死でよじ登る。ここまで機嫌よく来たけど、やっぱり最後はしんどいのね、とふと思う。
やっとビレー地点に辿り着いた。やれやれ。

堕ちたら危険な場所なので、KUROさんが立ち木等に行うセルフビレイの仕方を教えてくれる。これで安心。
私が、着いてからすぐに今度はBAKUさんがトラバースして行く。BAKUさんは、何度か来て最後の様子を知っているのか、「最後の方で登りにくいとこあるからその時は合図してな。シュリンゲ出すから」と言い残して行ってしまう。トラバースの様子は下からは様子が見えなかったのだが、なんちゅうとこを行かないといけないのかと又、少し青ざめる。
私が青ざめたのに気付いたのかKUROさんが話しかけてくれる。

KUROさん:「なぁ、キンゴが薦める沢に行ったら絶対にロクな目にあえへんやろ?」
私:「そう言えば前回の矢納谷も最後のコウリンの滝の高巻き、長くて嫌らしかったですね。」
KUROさん:「今回も3時間で終わるって言うから来たんやけどな。又、騙された。」
私:「今迄の報告文の中の全部キンゴさんが悪いって言う題名はこう言う事なんですか?」
KUROさん「そうそう」

こんな会話を交わしている間に私の番。メインザイルとのプルージック方式?でトラバースして行く。今回はザイルやランニングのカラビナ等の回収があるので私は、最後から2番目。KUROさんがラストで行く事になった。

上に登るならまだしもこのトラバースと言うのは慣れていないのでどうも苦手だ。おまけにやっぱりツルツルでホールドを見つけにくい。草の根っこも雨で弱ってあてにならない。万が一足を踏み外してもちゃんとビレーしてるから大丈夫と言い聞かせて壁際を慎重に進む。でも、途中で1度足を踏み外してしまい、体が少し横に振られる。一瞬ドキッとしたが右足で壁をけって何とか持ち応える。この時の様子をキンゴさんだけが見ていたらしいのですが、キンゴさんも一瞬ひやっとしたらしいです。トラバースはこんな感じで行って何とか皆が居る真下まで辿り着けた。最後に壁がかぶり気味な感じなので手足を使って登って行けない。BAKUさんに「ザイル直接触って良いですか?」と聞いてザイルを伝ってよじ登るような感じで何とか杣道に上る。
上で皆の顔を見たら少しほっとした。暫くしたらKUROさんも登ってきた。これで全員無事突破。

所要時間は、約1時間20分。今まで気付かなかったけど、全員が揃ってほっとしたのでふと右手を見ると何と立派な道が付いている。前回は道がなくて恐い思いをしたので思わず「道だ〜」(^。^)と叫んでしまう。PIKKUさんから「今頃気がついたん?」と笑われてしまう。
ガイドブック等ではもう少し先まであるのだが、天候が良くない事と時間がおしているので少し休憩して下山開始。

★ 下山開始(14:30)⇒ゲート止め(15:30)
道がある〜と喜びながら下山を始めたが喜びもつかの間。いきなり橋が腐っている。しかも落ちたら谷に転げ落ちる〜。仕方ないので横手の岩沿いを進みKUROさんに先に行ってもらって立ち木にシュリンゲセットしてもらって岩をよじ登る。
でも、嫌だったのはこの時だけで後はしっかりした下山道をどんどん下って途中で鉄橋や梯子を渡って林道終点の広場に着く。そこから林道を歩いてゲート止めに無事到着〜。

下山途中で何度か谷の中を確認しましたが、雨のせいか私達が遡行した時よりはかなり増水している様子。今の水量だったら中止になっていたかもと思う。

上谷は短い距離の谷ですが、その間に色々な種類の滝が配置良くセットされていてとても良い雰囲気でした。地元の人が「幽仙境」と呼ぶのも何となく納得した私でありました。

【エピローグ】
着替えを済ましてから、今回沢組でない皆が待つ中庄屋温泉に車を走らせる。帰りは当然おいしい中華を食べてご機嫌で帰るのでありました。
上谷は、本当に気に入りました。最後の突破が出来るしっかりしたメンバーのもとであれば、初心者でも楽しめる谷だと思いました。
今回もメンバーの皆様には色々教えて頂いたり助けてもらったりして本当に有難うございました。いつもの事ながらメンバーの皆様には、感謝・感謝です。
毎回お世話かけますが、成長していきますので今後とも宜しくお願い致します。